松江哲明

「正しい質疑応答への道程(みち)」

舞台挨拶やトークイベントに参加することが多々あるのだが、打ち上げ時なんかに「今日、よかったよね」と思えるのは観客のリアクションが良かった時。賛だけでなく、否もあったりして、いろんな視点が作り手に伝えられたり、と。上映中のウケはいい、トークもにこにこ聞いている、けど司会者が「では質疑応答を」となった瞬間、下を向くのはなぜ?そして上映後のアンケートの時点で制作意図を聞くのはさらになぜ?返答の仕様がないってのに。

海外の映画祭なんかでは聞かなきゃ損って位に質疑応答は盛り上がるのだが、日本では温度差を感じてしまう。

僕としては受け手がもっと積極的になって欲しいのだが、どうにも「手を挙げる」、そのことに抵抗があるのかな、と思う。
「恥の文化」なんて映画というコミュニケーションにおいてはどっかに置いといて欲しい。
作り手にとって最も大切なのは上映するその場、そしてその時の観客のリアクションなのだから。
そしてそんな質疑応答や批評が生まれることによって、次作への大きな糧となっていると言っても過言ではない。ホントに。

という訳は本講座では映画に積極的な「正しい観客」を育成したいと思っている。
映画を見てあれこれ聞きたくてうずうずしちゃうような、どん欲な観客を。
その為にはまず、魅力的な作品と出会う為の、見方、探し方、接し方があるのだが、そんなヒントを全5回で知って欲しい。

講座は60分以内の中編を鑑賞し、その後、受講生と作品研究をする予定。

その際の司会進行、質疑応答は受講生が中心になってもらう。
もちろん最初は手本を示すけど、ただ「受ける」だけの講座なんて面白くないもの。
具体的には受講生の一人が事前に作品を見、質問内容等を考え、当日の講義の司会進行の実践をする。
ゲストを呼ぶことも考えているので、その際のアテンドも。
積極的に参加することが、素直に「面白い」と思える講座を目指してるので、そのつもりで。

そして、ここで上映するのはなかなか見る機会のない「変な」作品を探しているので、フツーにお楽しみに(場合によっては事前に見てもらう場合も)。

トークイベントが好きな人だけでなく、そんなのが苦手な人、内気な人、映画初心者、映画マニア、監督、または現役評論家だって大歓迎。

映画でしか味わえないうずうずを共に。

講義日程
3/17(月)、4/24(木)、5/29(木)、6/26(木)、7/31(木)
※最終回講義日が7/31(水)から8/7(木)に変更になりました。
ご注意ください。

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松江哲明(まつえ・てつあき)
ドキュメンタリー監督

1977年生まれ。東京都出身。99年日本映画学校卒業制作として在日コリアンである自身の家族の肖像を綴った『あんにょんキムチ』を監督。国内外の映
画祭に参加し、韓日青少年映画祭監督賞、山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波特別賞、NETPAC特別賞、平成12年度文化庁優秀映画賞など
を受賞。その後OV「ほんとにあった! 呪いのビデオ」シリーズ(01〜02)を制作、舞台「ハルモニの夢」では脚本を担当。その他の作品に『カレーラ
イスの女たち』、在日AV男優女優のロードムービー「セキ☆ララ」(06)や劇場動員記録を樹立した『童貞。をプロデュース』(07)などがある。また
「週刊金曜日」「映画芸術」にて映画評を寄稿し、「スタジオ・ボイス」誌にて「トーキョードリフター」を連載中。
ブログ http://d.hatena.ne.jp/matsue/